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相続事業承継について

備えあれば憂いなし。
相続・事業承継を取り巻く現状を把握し、お客さまに合わせた適切な戦略、戦術をご提案します。

どんな相続対策が有効なのか ~国税庁公表資料から重点財産を読み取る~

平成27年より相続税に基礎控除が引き下げられたことに伴い、相続増税に対する恐怖感と節税対策の一大ブームが生じています。
では、実際にはどのような財産に対し相続税が課税されているのでしょうか?

国税庁が公表している「平成26年分の相続税の申告状況について」によると、相続財産に占める割合として最も大きい財産は「土地」41.5%であり、次いで「現金・預貯金等」26.6%、「有価証券」15.3%の順となっています。
このうち最も割合の大きい「土地」については、「自宅の敷地」をはじめとして、「個人事業で利用している土地」といった事業用土地、「駐車場」や「賃貸アパートの敷地」といった不動産貸付業の用に供されている土地など生活の基盤となっている土地が含まれていることも多く、重要財産であるとの認識を多くの方がお持ちの財産になります。
逆の言い方をすると、これだけ大きな構成割合を占めている以上、適切に対策を施すことで円滑・円満な相続を実現することができる財産とも考えられます。

社長、後継者は要注意!同族会社の株式は油断できない!!

「土地」の次に大きな割合を占めている「現金・預貯金等」は、相続税が課税される財産であると同時に、納税の原資ともなる財産であり、この割合が大きいことが必ずしも否定的な意味を持つ財産とは言えない財産になります。
では、3番目に大きな割合を占める有価証券はどうでしょうか。こちらも納税資金確保のために売却することができる財産なのでしょうか?

取得財産等の種類 平成26年分
被相続人の数(人) 取得財産価額(百万円)
特定同族会社の株式及び出資 9,406 470,476
同上以外の株式及び出資 35,682 736,299
公債及び社債 11,045 214,854
投資・貸付信託受益証券 19,999 474,920
42,361 2,067,580
平成26年分
被相続人
1人当たり財産額
(百万円)
50
21
19
24
49

※国税庁「統計年報平成26年度版」から、一部加筆

国税庁の資料によると、筆頭株主グループが過半数の議決権等を占める「特定同族会社の株式及び出資」の取得財産価額よりも、それ以外の株式及び出資の取得財産価額の方が大きくなっています。
しかし、それぞれの財産を所有する被相続人の数が異なるため、被相続人1人当たりの財産額を求めると事情が変わってきます。
すなわち、被相続人が同族会社の株式を所有している場合には、その財産額が大きな金額になる傾向が確認できます。被相続人が大株主であった場合には、その株式をどのように承継していくか考える必要があります。

まずは、財産の棚卸しをすることが相続・事業承継対策の第一歩!

では、相続・事業承継対策を考えるためには、具体的には何から始めたらよいのでしょうか?
実務上は、まず「財産の棚卸し」を行うことがスタートになります。財産の棚卸しとは、現金・預貯金をはじめ、不動産、有価証券などの資産、住宅ローンや事業用借入金、テナントからの預かり敷金などの負債のほか、ご家族が加入されている生命保険契約なども含め、すべての財産を洗い出し、現状を把握することになります。
現状が把握できたら、相続・事業承継対策の3本柱である「遺産分割対策」「納税資金対策」「相続税対策」を、この順番通りに実施していくことになります。

まずは、財産の棚卸しをすることが相続・事業承継対策の第一歩!

弊所では、相続・事業承継対策の王道かつ基本である「遺産分割対策」「納税資金対策」「相続税対策」について、お客さまの置かれた状況とお考えに合わせ、最適と思われるプランを提示させていただきます。

遺言と民事信託について

円滑な財産移転と相続税の節税、どちらも両立するようなプランを提示します。

財産の分け方で、相続税はこんなに違う! ~配偶者の財産取得割合と二次相続まで考えた分割案~

相続税額を減らす効果のある制度はいくつか存在しますが、最も効果の大きいものは「配偶者の税額軽減」になります。
これは、「配偶者の財産取得割合が法定相続分以下」または「配偶者の取得財産額が1億6,000万円以下」の部分に対しては相続税が課税されない(税額が控除される)という制度です。

配偶者の税額軽減の具体例

財産額2億円の父に相続が発生した場合

財産額2億円の父に相続が発生した場合

ケース1 ケース2 ケース3
母の取得財産額 6,000万円 1億円 1億6,000万円
母の取得財産割合 30% 50% 80%
相続税の総額 3,340万円 3,340万円 3,340万円
配偶者の税額軽減 1,002万円 1,670万円 2,672万円
納税額 2,338万円 1,670万円 668万円

この具体例の場合、ケース1の母の取得財産割合が30%の場合やケース2の母が法定相続分(50%)で取得した場合よりも、ケース3の母が財産額1億6,000万円取得した場合の方が配偶者の税額軽減額が大きいため、ケース2の方が納税額が少なくなっています。
ところが、父の相続が発生した後の二次相続(母の相続)の際の相続税の負担まで考えると、必ずしもこの考えが望ましいとは言えなくなります。父の相続時に母が取得した財産は、二次相続時には母の相続財産として相続税が課税されるためです。

財産額2億円の母に相続が発生した場合

財産額2億円の母に相続が発生した場合

ケース1 ケース2 ケース3
母の取得財産額 6,000万円 1億円 1億6,000万円
母の取得財産割合 30% 50% 80%
相続税の総額 3,340万円 3,340万円 3,340万円
配偶者の税額軽減 1,002万円 1,670万円 2,672万円
納税額 2,338万円 1,670万円 668万円
子の取得財産額 6,000万円 1億円 1億6,000万円
納税額 310万円 1,220万円 3,260万円
一次二次合計納税額 2,648万円 2,890万円 3,928万円

二次相続では、配偶者が存在しないため、配偶者の税額軽減は使えません。
また、法定相続人の数が1名減少するため、必然的に納税額が大きくなりやすい傾向があります。
そのため、一次二次合計納税額はケース3よりも、ケース1、ケース2の方が少なくなります。

このように、相続税の負担を最小限に抑えるには二次相続まで考えた分割案を検討することが必要になりますが、実際にはそこまで考えられていない分割案というものも数多く存在します。税理士の中でも、相続・事業承継に精通した税理士とそうでない税理士との間では、知識に差が存在していますし、おのずから提案内容にも違いが生じます。上記はほんの一例にすぎません。弊所では、お客さまの状況に合わせ、最適と思われるプランを検討させていただきます。

財産の分け方が決まったら、遺言書を用意する

遺産相続を円滑に進めるのに有効な方法が「遺言書を用意すること」であることをご存知の方は多いと思います。遺言書を用意することは、遺産争いを防止する効果を持つほか、特定の人に特定の財産を承継させることができたり、被相続人の生前の希望が実現しやすいなどの効果があります。

自筆証書遺言 公正証書遺言
作成方法 全文・日時・氏名を自署し、押印する 証人2人立会いのもと、遺言者が口述した内容を、公証人が筆記する
保管方法 遺言者本人 遺言者本人に製本と謄本が交付
公証人役場が原本保管
検認 必要 不要
メリット 自分一人でも作成可能 専門家作成のため形式的に無効になりにくい
手数料がかからない 原本を公証人役場で保管しているため偽造、変造の恐れがない
内容、存在を秘密にできる 死後、家庭裁判所の検認が不要
デメリット 形式、内容に不備があると無効になる可能性がある 作成に手数料がかかる
紛失、変造、遺族に発見されない可能性がある 公証人や証人に内容を知られる(秘密保持義務あり)
死後、家庭裁判所の検認が必要

近年注目を集めている民事信託

平成19年に信託法の大改正が行われて以降、相続・事業承継の分野にもその活用例が見られるようになってきました。
相続・事業承継の分野で活用されている信託は、一般に「民事信託」と呼ばれるものになります。これは許認可を受けている信託銀行や信託会社などを利用せず、一般の市民や法人が委託者、受託者、受益者などになり私的な信頼関係に基づき行われる信託行為をいいます。

なお、アメリカでは、信託制度の利用が一般市民にまで広く普及しており、民事信託の利用も積極的に行われています。有名なところでは、世界的な歌手であるマイケル・ジャクソンも、その死後「ジャクソン・ファミリー信託」が設定されており、受託者である彼の母が信託財産を管理することなどが定められていました。

① 遺言代用信託の具体例

父が生前にAに財産を信託する。
父存命中は父が受益者となり、父相続発生時には子が受益者となるように設計した場合

① 遺言代用信託の具体例

例えば、ある財産を父が受託者Aに信託したとします。信託することにより、法律上は「受益権」という権利に転嫁しますが、父の存命中は父が受益者となるよう設計することで、信託前と変わらない経済効果を受けることができます。その後、父の相続が発生した場合には、あらかじめ子が二次受益者となるよう設計することで、自動的に受益権を相続させることができます。
遺言の場合には「子に受益権を取得させる」と記載することで子が受益者となりますが、信託契約においても遺言と同様の効果を生じさせることができることから、このような信託は「遺言代用信託」と呼ばれています。

② 受益者連続信託の具体例

② 受益者連続信託の具体例

①の例では、父の次の受益者を一人しか指定していませんが、信託では設計段階でそれ以降の受益者を定めることもできます。②の場合、二次受益者の子の次の取得者として、孫を三次受益者として定めています。
父の遺言で、「子が取得した受益権を孫が相続する」と定めることはできません。しかし、信託契約では、一定期間という制約はありますが、当初の信託設定時に三次以降の受益者を定めることができます。このような信託契約は受益者連続信託と呼ばれています。

③ 不動産管理信託を利用した資産承継の具体例

③ 不動産管理信託を利用した資産承継の具体例

民事信託は、不動産を信託財産とする活用も可能です。「価値ある財産が不動産しかないため、配偶者と子には不動産を与えたい」「ただ、不動産を共有にすると、後々面倒が生じる」というような事情があるときに活用できます。
上記の具体例では、不動産を受託者Aに信託することで、不動産の管理運用は信託契約に基づきAが行うことになります。他方、受益権という権利は持分割合で細分化できますので、配偶者と子がそれぞれ受益権の恩恵を受けることができます。
不動産が賃貸物件の場合、管理運用は受託者のAが行いますが、その不動産収入は配偶者と子が取得することができるので、円滑に財産移転され、不動産共有のわずらわしさも避けることができます。

民事信託が活用できそうなケースとは

信託の活用例は、まさに十人十色であり、様々な設計が考えられます。しかし、すべての税理士が民事信託に精通しているわけではありません。税理士にも得意分野があります。以下のチェックリストに2つ以上該当する方は、弊所をはじめとする民事信託に精通した税理士に相談されることをお勧めいたします。

  • 親族関係が複雑である、または問題を起こしそうな親族がいる。
  • 相続人の中に障害を持つ人がいる。
  • 株式の大部分を自分が所有しているため、認知症になった場合、会社の経営がストップする。
  • 自分の意思で、次の後継者だけでなく、さらにその先の後継者まで指定したい。
  • 賃貸物件の収入を相続人に平等に取得させたいが、共有になった場合が心配だ。
  • 障害を持つ相続人にも賃貸物件を持たせ生活費を確保させたいが、物件管理に不安がある。
  • 財産所有者が認知症を発症した場合でも、財産の管理・処分等に柔軟性を持たせたい。
  • 財産に占める自社株や事業用財産の割合が大きく、後継者以外が一部を相続する可能性がある。
  • 認知症になった後も、合法的な生前贈与を行いたい。
  • 個人事業の法人化を考えているが、流通税はなるべく抑えたい。

☆弊所では、民事信託を活用しての相続・事業承継対策も提案しております。
また、民事信託に精通した専門家との信託設計等も行っております。

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不動産について

売るべきか、残すべきか。法人に移すべきか、個人で持ち続けるべきか。
所有不動産の置かれている状況とお客さまの事情、双方を考えた解決策を提示します。

先祖伝来の土地は持ち続けるべきなのか?

古くからの地主さんの中には「先祖伝来の土地は売却しないで子孫に引き継がせたい」とお考えの方が少なくありません。ただ、実際には収益性の低い土地などは、無理して持ち続けずに売却したほうが良い場合もあります。
では、どのような土地を残し、どのような土地を手放すべきなのでしょうか。実務的には下記の4パターンに分け、各分類ごとに対策を考えていくことになります。

具体例 対策例
持ち続ける土地 生活の基盤となる自宅の土地 遺言で取得者を早めに決めておく
事業で必要となる土地 他の相続人にはほかの財産を用意する
将来、子供たちに引き継がせたい土地 納税資金を準備しておく
有効活用すべき土地 好立地で賃貸物件や貸駐車場として利用することで、安定収入が期待できる土地 誰に、いつ承継させるか検討する
収益とコスト、各年の税負担を見積もる
納税用の土地 相続発生時に納税のために売却や物納ができる土地 売却や物納の手続きがしやすいよう準備しておく
想定の売却価格を検討しておく
問題のある土地 権利関係が複雑な土地 生前に権利関係が調整できるものは調整する
自由な活用ができない貸宅地 借地人への底地売却や底地と借地の交換などを検討する

借入金で賃貸物件を建築すると本当に相続税対策になるのか?

以前より、「借入金で賃貸物件を建てると相続税対策になる」と言われており、住宅メーカーを中心に営業トークやセミナーの題材として積極的に広められていることを、ご存知の方は多いと思います。
はたして、本当に物件を建築すると、相続税対策になるのでしょうか?

現況:更地 (自用地) 相続税評価額 2億円

土地の評価額:2億円
借地権割合:70%
借家権割合:30%

借入金2億円で賃貸物件を建築した場合 相続税評価額2,800万

土地の評価額: 2億円 × (1 - 借地権割合70% × 借家権割合30%) = 1億5,800万円
建物の評価額:固定資産税評価額1億円 × (1 - 借家権割合30%) = 7,000万円
借入金:2億円 … 債務としてマイナスされます。

建物

建物

賃貸物件を建築することによる相続税対策のポイントは、「第三者に賃貸されることで、借地権割合、借家権割合を考慮した評価なるため評価下げにつながる」「建物は相続税の計算上は『固定資産税評価額』で評価されるが、これは建築費用の50%程度で評価されることが多いため、建築費用と固定資産税評価額の差額相当が評価下げになる」の2点になります。
その点で考えると、上記の事例では建築後の相続税評価額は、建築前のそれより大幅に引き下げられており、効果があるといえます。
但し、「賃貸物件なので、毎年家賃収入が発生し、税引後所得が将来の相続財産を構成すること」「借入金の返済が必要であり、空室が発生した場合の返済について注意が必要であること」などに注意する必要があります。
そのため、上記のような相続対策は「比較的短期の間に」相続が発生すると予想される場合に取るべき対策になります。

法人化することのメリット

不動産貸付業に限らず、ある程度の事業規模になった場合には「法人化(法人成り)」することが以前より行われてきました。
法人化することのメリットは、どのあたりにあるのでしょうか。法人化を検討するうえで、メリット、デメリットを簡単にまとめると次のようになると思います。

法人化のメリット・デメリット

メリット デメリット
所得税より法人税の方が最高税率が低い 設立、解散時にコストが生じる
所得の少ない親族への分散が可能 赤字の場合でも均等割の負担がある
欠損金を10年間繰越できる (個人だと3年間) 記帳業務など事務コストが生じる
不動産の譲渡損を他の所得と通算できる 厚生年金に強制加入になり社会保険料の負担が増加
など など

個人の不動産貸付業を法人化する場合には、個人の持つ不動産の扱いがポイントになります。というのは、単に法人に不動産を譲渡してしまうと譲渡所得税の問題が生じることが少なくないためです。
実務上は、「管理委託方式」「転貸借方式」「不動産所有方式」の3パターンを、お客様の置かれた状況に合わせ検討していくことになります。

不動産に強い税理士選び

このように、不動産に関しては様々な視点から検討し、対策を考えていく必要がありますが、すべての税理士が精通しているわけではありません。
税理士にも得意分野があります。以下のチェックリストに3つ以上該当する方は、弊所をはじめとする不動産に精通した税理士に相談されることをお勧めいたします。

  • 地代家賃の集計ミスが良く発生する。
  • 貸借対照表の記載のない個人決算書を作成している。
  • 5棟10室基準を満たす不動産貸付業を営んでいるのに、青色申告特別控除が10万円になっている。
  • 複式簿記による記帳を行っていない。
  • 買換え特例や等価交換、特別控除など譲渡所得の各種特例の扱いがわからない。
  • 納税額の計算や連絡に時間がかかり、納税資金の準備に困ったことがある。
  • 収入金額に対し、税負担が大きいと感じている。
  • 不動産管理会社設立などの節税に関する知識、ノウハウがない。
  • 顧問税理士に質問しても返答が返ってこない(または、相談しにくい)。
  • 相続税のシミュレーションや事業承継に関する知識、ノウハウがない。

☆弊所では、不動産について、相続税の視点だけでなく、所得税、法人税の視点からも考え、
お客さまに合わせたプランを提案させていただきます。

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自社株対策について

株式は「議決権(=経営権の確保)」と「株価(=財産としての価値)」の両立が求められます。
弊所では、株価マネジメントを通じて円滑な事業承継プランを提示させていただきます。

自社株の持つ二つの性格 ~「経営権」と「財産権」をどう承継させるか~

自社株の継承 自社株の承継対策を考える上で、大前提として踏まえておかなければならない点があります。それは、株式には、株主総会での議決権行使に象徴される「経営権」としての性格と、配当や残余財産の分配を受けることができる「財産権」としての性格を併せ持った財産であるということです。
もし、後継者に自社株を集中的に取得させた場合、後継者の「経営権」は安定的になる一方で、後継者の相続税の負担が大きくなったり、他の相続人の遺留分を侵害したりする可能性があります。
しかし、各相続人で自社株を平等に取得すると、公平な財産分割になる一方で、後継者は株主となった他の相続人の顔色を伺いながら経営することになり、経営権の承継の視点からは課題が残る結果になります。
したがって、自社株の承継については、この二つの性格を理解し、どちらもうまくいくよう対策を検討する必要があります。

「経営権」確保のための一工夫 ~種類株式と属人的株式~

では、後継者が経営権確保のために大株主になったとしても、他の相続人から不満が出ないようにするにはどうしたら良いでしょうか。
もし、自社株以外に他の財産があるようならば、他の相続人には自社株以外の財産を与えることが最も自然な方法になるでしょう。しかし、財産に占める自社株の割合が大きい場合には、そうもいきません。
このような課題の解決策の一つとして、種類株式の活用が考えられます。後継者が取得する自社株のみ議決権のある株式とし、他の相続人が取得する自社株は無議決権株式にするというような使い方です。
また、属人的株式を活用することでも、実質的に同様の効果を得ることが可能です。

なぜ自社株対策が重要なのか ~中小企業の株価算定の方法と注意点~

中小企業の多くは、社長とその親族が株主になっている同族会社です。その株式は上場されていないことがほとんどで、現時点での株価がいくらなのかよくわからないことが多いです。
では、大株主でもある社長に相続が発生した場合、社長の持つ株式はどのように評価されるのでしょうか?

中小企業(上場されていない会社)の株式評価の基本的な仕組み

中小企業(上場されていない会社)の株式評価の基本的な仕組み

純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税評価額により評価し、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。

純資産価額方式のイメージ図
資産 負債
法人税等相当額
純資産価額

類似業種比準価額方式は、類似業種の株価(自社と類似した事業を行う上場企業の株価)を基に、評価する会社の一株当たりの配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の三つで比準して評価する方法です。

類似業種比準価額方式の算式
類似業種比準価額方式の算式

※評価会社の配当、利益、簿価純資産は以下により求められます。

  • 配当⇒「直前2期の平均」
  • 利益⇒「直前期の利益」または「直前2期の利益の平均」
  • 簿価純資産⇒「直前期の簿価」

配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。

配当還元方式の算式
配当還元方式の算式

大株主でもある社長に相続が発生した場合、通常は同族株主に該当することが多いため、その株式は純資産価額方式か類似業種比準価額方式、または併用方式で評価されることがほとんどです。
これらの評価方式が採用される場合、株価が高めに評価されることが多く、必然的に相続税の納税額も多額になる傾向があります。

株価が高くなる原因と対策

株価が高くなる原因には、いくつかの要因がありますので、実務上は実際に株価を算定して判断することになりますが、代表的な要因としては以下のようなものがあげられます。

①純資産価額が高くなる原因

  • 簿価純資産価額が高い(会社内部に税引後利益が蓄積している)
  • 含み益がある不動産や株式などを多く抱えている

②類似業種比準価額が高くなる原因

  • 上場会社の株価が上昇している(類似業種の株価は上場会社の平均株価から求められているため)
  • 支払配当の影響(中小企業は上場会社より資本金が小さいため、利益配当支払率が高くなる場合がある)
  • 直前期、直前々期に多額の利益を計上している
  • 簿価純資産価額が高い

以前より、個人事業が軌道に乗ってくると法人化(法人成り)することが行われてきました。所得税は超過累進税率で課税されるため、所得金額が大きい場合には定率で課税される法人税の方が納税額を抑えることができます。
その一方で、法人税納付後の税引後利益が毎年会社の内部に蓄積していき、これが会社の株価上昇要因につながります。

自社株に関するお悩み具体例

自社株に関しては様々な視点から検討し、その対策を考えていく必要がありますが、すべての税理士が精通しているわけではありません。税理士にも得意分野があります。以下のチェックリストに2つ以上該当する方は、弊所をはじめとする自社株対策に精通した税理士に相談されることをお勧めいたします。

  • 親族関係が複雑である、または問題を起こしそうな親族がいる。
  • 会社の後継者が不在である、または決まっていない。会社を継がせたいが、後継者にその意思がない。
  • 従業員や交流の薄い親族、連絡の取れない親族などが会社の株主名簿に載っている。
  • 争族を防ぎつつ、経営権は後継者に確保させたい。
  • 現在の自社の株価がわからない、評価方法を知らない。
  • 株価マネジメントの具体案がわからない。
  • 財産に占める自社株や事業用財産の割合が大きく、後継者以外が一部を相続する可能性がある。
  • 相続税に不安がある、または相続税の納税資金の確保に不安がある。
  • 後継者が自社株の買い取るときの、買取資金に不安がある。
  • 以前、株主から、株式を買い取ってほしいと言われたことがある。

☆このように自社株対策には「経営権」と「財産権」の両方の視点から考え、
さらに株価マネジメントによる対策を検討していくことになります。
当事務所では、円滑な相続・事業承継を行うため、通常の法人顧問業務に留まらない
総合的な税務コンサルティングを展開しております。

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